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猪瀬直樹、大衆、権力 

木曜日, 12月 5th, 2013

馬脚を現す。猪瀬直樹・東京都知事の人品骨柄について、これほどぴったりくる言葉はないだろう。彼が権力志向の強い男で、そのための振る舞いがいかに醜いものであったかということは、多くの人が感知していたところだが、それが今回の5000万円問題で、白日の下に晒された。

醜態の例はあまたあるが、一つだけあげれば、都知事選でテレビでの選挙広報収録時、自分で収録時間を勘違いしておきながら、時間内におさまらなかったことに腹を立て、番組関係者どなりつけたことがあった。女性関係でも、その醜態は知られている。

さて、問題はこんな人格の人間がどうして都知事になれたのかということだ。投じた都民は「そんな男だとは知らなかった」ということになるのだろうが、近くにいた人間、メディアの人間だったら知っていたはずだ。その意味で、一部の週刊誌を除いて、メディアの責任は大きい。

そしてもう一つは、石原慎太郎・前知事の後継者として支持を得ていたということが大きいだろう。良くも悪くも美意識の強い石原氏からすれば、「男として猪瀬というのはなんと魅力のないのことか」と思っていたのではないだろうか。、
しかし、部下としては有能でかつ自分にすり寄ってくる。そうなると、“使える奴”ということになる。問題はここにある。組織のなかで、部下には威張りちらしたり、ずる賢いく人望がなくても、米つきバッタのように強い者にはへりくだる人間は、上司にとっては非常に使いやすく無碍にできないところがあるものだ。

だが、これをみて末端の不満は高まり、組織は徐々に腐っていく。「あんなやつがどうして出世するのか」という例を多くの会社員のみなさんは知っているだろう。多くの人が上司をもち、かつ部下も持っている。猪瀬氏のような人間の本質を上司の側からも、また部下の側からも見抜く力が問われている。