安心して感染できる環境に  徹底検査というビッグデータ活用を

 嫌な空気に包まれている。新型コロナウイルスの拡大によって、いま日本を覆っているのはそんな空気だ。ホストクラブ通いをやめられない客や、自粛をものともしない夜の店や、自粛の解除とともに観光地や繁華街に繰り出す人たち。その一方で、外出を極力避け、マスクをはなさず行動する人たちもいる。
 感染の危険度は大したことないのか、どうなのか。なぜ日本は今のところ表にでている感染者の数も陽性者の割合も低いのか。「ファクターX」はよくわからないという。確かなことがわからないなかで、漠然とした危険性があるという警告のもとで生活する。それが、なんとも気味が悪い。
 この気分を少しでも解消するには、とにかく検査を拡大するしかない。検査にもとづくデータを可能な限り集める、つまりAIの基本のビッグデータの活用がまず先だろう。推測や憶測に基づく議論をするより、「検査の拡大」を訴え実行することがまず第一だ。
 もう一つの嫌な空気は、感染の確率はかなり低いかもしれないが、連日報道される医療現場の苦しい事情や感染患者受け入れ状況をみると、万一感染したらまともに診てもらえないかもしれないという不安を抱えているという空気だ。
 感染を防ぐことは100%は不可能だ。だから、万一感染しても安心していられる、つまり安心して感染できる状況が必要になる。そもそも病院とはそういうものだ。万一病気やけがをしても病院があるから安心していられる。
 いくら観光キャンペーンなどに金を使っても、それに乗ってくるのは、楽天的な人たちだけで、漠然とした恐れや不安を抱いている人たちはまだ控えるだろう。それより科学的にどう危険でどう安全なのかがより分かってきて、加えて万一感染しても診察から収容まで安心していられるとわかれば、理屈で動く理性的な人たちも動き出す。
 検査の徹底拡大によるデータと、安心して感染できる十分な医療体制によって、日常の活動も合理的になり、合理的な経済活動が進む。


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