抗原、PCR検査についての 尾身発言、新聞は触れず 驚くべき鈍い「ニュース感度」 広島県の実態から
5月7日、菅総理大臣の記者会見に同席した「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は、抗原検査やPCR検査の必要性を強調した。専門家会議の他のメンバー、科学者、経済界、一部ジャーナリストが1年以上前から強調していた検査の活用を訴えた。これが、感染実態を明らかにし感染源の減少と感染拡大の防止策になるという指摘は、実行に移されず、その理由もまたはっきりしないままだったことを考えると、遅きに失したとはいえ、尾身会長の「訴え」は、重要な意味を持つ。
こうした施策をとり成功した他国の例を見ればなおさらだ。ただ、個人の行動や営業の自粛を要請し、時間と金だけをかける政策からすれば、まだとられていないが、とるべき有効な具体策である。繰り返すが、だから尾身会長が力を込めてこの点に触れたのは意味があった。
にもかかわらずである。驚いたのは、この発言について8日の新聞はほとんどふれていない。かなりの字数を割いて1面から首相の会見について書いているのに、この尾身発言について書き込んでいない。これはいったいなんなのだろう。
広島県という1県が積極的に行っている検査から判明した重要な事実を具体的に話し、提言している尾身会長の言葉について触れていないのだ。日本の主要メディアの「ニュース感度」の鈍さに驚く。
以下、NHKの速報から尾身会長の発言を引用する。とても重要な内容だ。
「 軽い症状がある人に対する検査 積極的に行う必要」
尾身茂会長は変異ウイルスが拡大する中で政府に求められる対策について「広島で行われた大規模なPCR検査では、症状がある人の陽性率が9%に達したのに対し、症状がない人の陽性率は1%にとどまった。また、別の自治体では、けん怠感など体の不調があっても、7%から10%は仕事や勉強で出ていることが分かっている。これらのことから言えるのは病院に行くほどでないくらいの軽い症状がある人に対する検査を積極的に行う必要があるということだ。健康観察アプリと合わせて簡便な抗原検査キットを活用し感染が確認されたら、周辺の無症状の人に対して広範にPCR検査を行って大規模なクラスターの発生を防ぐ、積極的検査を進めてほしい」と述べました。
ワクチン接種が進むまでリバウンド防ぐ対策をまた尾身会長は、西村経済再生担当大臣の会見に同席し「今後、高齢者を中心としたワクチン接種が進むまでの間に感染の大きなリバウンドを防ぐことが非常に重要だ」と述べました。