琉球独立

 またしても沖縄で米兵による事件が起きた。11月1日の深夜、今度は酒に酔った若い米兵が民家に侵入しその家の中学生を殴りケガをさせたという住居侵入・傷害事件だ。前回の強姦致傷事件のときもふくめこれだけ基地があることに起因する問題を目の当たりにしながら、驚くべき反応が日本人のなかにある。
 それは、「沖縄の人には気の毒だが、日本の安全保障のために我慢してもらうしかない」という意見だ。国家の安全保障というが、つきつめれば国家を盾にした自分の身の安全のためだろう。
 加えて、こういう意見の人は自分が一番大事だから自分のところに基地を引き受ける気持ちなど毛頭ない。長年にわたって同じ国民として明らかに不利益を被っている人がいるのに、それを是正しようとしないで成り立つ安全保障は、民主国家としておかしいし、第一だれかの痛みの上に自分の安全を確保して気持ちがいいだろうか。
 日本人に不利益な日米地位協定を見直すことはもちろん、基地の縮小を実現しなければ事態は変わらないだろう。

 沖縄ではいま「琉球独立」の動きさえある。先日、龍谷大学の松島泰勝教授が、毎日新聞のインタビューのなかで、独立も現実的な選択として考えざるを得ないと話している。
 パラオ、ツバル、ナウルといった太平洋に浮かぶ小国のように、沖縄よりはるかに規模が小さくても独立している国を例に挙げるなどし、独立は不可能ではないという。

 昨年沖縄で話を聞いた沖縄国際大学野球部監督の安里嗣則さんは、野球をはじめさまざまなスポーツの大会の開催地として沖縄は国際的に大いなる可能性があるという。
 また、これまで返還されてきた基地は再開発によって基地以上の経済効果を生んでいるという実証データもある。つまり、基地がないと経済的にやっていけないなどというのは乱暴な論だということだ。
 松島教授らは10年に「琉球自治共和国連邦独立宣言」を発表、政治・経済学、国際法、民族学、社会学など幅広い分野で組織する琉球独立総合研究学会が来年度の発足を目指しているという。
 その歴史は古い、琉球独立論の現実性を今後探ってみたい。(9月24日毎日新聞参考)


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