大雪と無人店舗

 滅多にない首都圏の大雪は、滅多にない予想外の出来事をいくつももたらした。知人の家では、屋根から落ちた雪が隣家の駐車場の屋根を壊し、隣人が“どうしてくれる?”と、苦情を言ってきた。確かに知人の家から雪は落ちたのだが、降雪は自然現象でその量はよくあるとはいえないほど大量だった。

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横浜・馬車道付近で

 道路に雪が積もれば、通行のじゃまになるから雪かきをしなくてはいけない。わが家の近所でも、どこもみんな出てきて慣れない雪かきをしていた。自分のためでもあるが、自分の家の前だけ雪が残っていては、近所に迷惑がかかるから仕方のないところもある。

 こういうとき雪かきをしていないところが顰蹙を買うのはいうまでもない。商店街をみると、個人商店はほとんどみな店先がきれいになっているが、都市部で私が見た範囲では事業ではかなりの雪を残しているところがあった。

 そして、もっとも最後まで雪が残っていたのは、消費者金融の無人店舗だった。現場には会社の人間はいないからしかたがないとはいえ、わざわざ雪かきに来るような気の利いたことはしないのだろう。
電車に乗れば、車内の広告モニターでは、頻繁に“金貸し”の宣伝が流れ、有名俳優たちが登場するお手軽な金融のポスターがよく目立つ。多額の宣伝費を使って派手にそしてチャーミングに商売を演出するこのビジネスには、雪かきのことなど頭にない。

 地方都市の駅周辺にはもうずいぶん前から潰れた商店のあとに、ポツンポツンと無人の金貸しコーナーが、どぎつい色の看板を出している。いつまでも雪が残るのは、そういう看板の前なのだろう。


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