日本人はどこへ行ったのか。北の地で

 

寒波が訪れるなか、北海道の洞爺湖周辺を訪れた。北の湘南ともいわれる噴火湾沿いの伊達紋別駅から国道453号を北に向かう。有珠山の麓、熊牧場など観光施設と昭和新山をはさむ駐車場には、冷たい風と雪のなかでも数台観光バスが止まっていた。
こんな寒い季節でも来る人がそこそこいるんだと思っていると、それは日本人ではなくアジアからのツアーの一団だった。

さらに国道を北へ雪の舞うなかを進む。伊達市の大滝地区にある国道沿いの道の駅へ。新千歳空港からニセコのスキー場へ向かう国道276号沿いでもあり、ここにも観光バスはどっと押し寄せるらしいが、お客はアジアからの人たちだ。中国、台湾、タイ、マレーシア、あちこちからやってくる。日本人の観光客はどこへ行ったのだろう、と思えるほどだ。

「英語で話しかけるのが普通になっているから、間違えて日本人のお客にも英語で話しかけてしまったりします」と、店の人が言っていた。

この地はキノコの産地キノコ工場で、近くに無農薬栽培の「キノコ工場」があるというので行ってみた。すでに雪もかなり積りはじめた。工場建屋のなかには、いくつもの棚の上にキノコの菌をうえつけた人工の小さな「ホダ木」がびっしりと並んでいる。

このホダ木を運んでいるのか、台車を押して若い女性たちが建屋のなかを行き来する。ジャージや作業着姿で数人が声を弾ませて働いている。聞けば、中国から来ている研修生たちだという。
「地元の若い人は、なかなか来ませんから」と、経営者が地元の労働事情を説明してくれた。外は雪、10代だろう彼女たちは、きびきびと体を動かしている。

若い日本人は地方から出ていく。それと入れ替わりに中国から若者が日本の田舎で働く。北海道で、中国など金のあるアジアの人は観光に訪れ金を落とし、お金や仕事がほしいアジアの若者がお金を稼いでいく。地方をかき回してくれるのは外国人だ。

帰りに熊牧場に入場した。冷たい雪がぱらつく下、コンクリート壁に囲まれた、眼下のオリの中で、ヒグマたちが観光客の投げるリンゴやクッキーを待っている。リンゴをかざすと、「おーいこっちだよ」とばかりに二足で立って熊が手を振る。これがなんとも愛嬌がある。

 

その熊めがけてリンゴを投げると、見事にパクリ。周りをみると、これで喜んでいる日本人は、どうやら私一人のようだった。

熊牧場


the attachments to this post:


熊牧場


キノコ工場


Comments are closed.