コロナ禍でもカジノを進める横浜市。そんな場合か。

 ギャンブル依存症、港湾・文化都市横浜にふさわしくない、など様々理由で市民から批判を受け、嫌悪の情を抱かれている横浜市のIR(カジノを含む統合型リゾート)誘致計画が、新型コロナウイルス対策に追われるなか進められようとしている。ウイルスの問題は将来も起こりえることを考えれば、穏やかな港湾環境のなかに飲食や享楽で人を集中させる施設を作り出すことの問題を、考えざるを得ない。

 それにもかかわらず、国による認定スケジュールに合わせようと、予定通り計画を進める林文子市長の責任は問われる。オリンピックの開催問題を優先させ、ウイルス対策に後れを取ったともみられる今回の国の姿勢から学ぶところはあるはずだ。林市長が、IRの誘致を将来の財政の危機、経済効果を鑑みて実現するのだと訴えるのであれば、その「危機と効果」と、IRを作らないことのメリットを具体的に比較して、市民に説明し、幅広い了解を得たうえですすめるべきものを、これまでは反対を押し切って進めている。

 以前、アメリカ東部のカジノの町、アトランティックシティーのカジノを取材したことがある。華やかな(華美で俗悪ともとれる)ネオンサインに彩られた施設と楽し気な内部のカジノだが、入り口あたりで「20ドル貸してくれないか」と、ドローンとした目つきのカジノ・ジャンキーから金をせびられたことがあった。24時間眠らない街は、裏に回るとネズミがはっていた。カジノをすべて否定するわけではない。楽しいところもある。だた、それと引き換えに港・横浜で失われるものがある。それを正直に市民の前に出してゆっくりと議論すべきではないか。市長の在職期間はほどなくすればおわりだが、電飾に施された施設は半永久的に湾岸を占有することになる。


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