世界三大“当たり前”ー 元旦の海と病院
水曜日, 1月 2nd, 2013 元旦の湘南海岸は穏やかで、適度なサイズの波に“初乗り”するサーファーたちが集まった。空気は澄み富士山もくっきりと青空に映えた。私は自転車で茅ヶ崎海岸を江ノ島の方に向かい、ヘッドランドといわれる広い浜に下りた。陽の光が粒のように反射する海面に浮かび、波をとらえて滑るサーファーたちを眼を細めてしばし眺めていた。
こういう瞬間だけは気が休まる。「やっぱり海はいいね、自然はいいな」と、まったく“ベタな”な言葉が浮かんでくる。
家に戻り、「のんびりとしたいい正月だ」などと家人にいいながら、ふと、元日でも働いている人はたくさんいるし、さらに、病院で正月を過ごす人もかなりいるんだろうなと、この気分を味わえない人たちに同情した。
そんなことを思ったからではないだろうが、夕方になってとんでもないことが起きた。車で小一時間ほど離れた所に住む母親がなんと入院することになってしまった。80歳を過ぎている母親は年末に、やたらと眠りはじめ、おかしいことを言うようになったという。
近頃物忘れが激しくなり、コミュニケーションもややうまくとれないことがあったし、認知症の疑いをもっていたので、それが形を変えて表に出たのか、と最初は思った。しかし、少し頭が痛いといっていたこともあったので、心配になり病院に連れて行くと、「CTを撮った方がいいでしょう」ということになり別の大きな病院へ。
結果は、脳内で出血していることがわかり即入院、集中治療室に入った。一時はどうなることかと思ったが、一夜明けて幸い容態は安定し、会話もできるし体の麻痺などもないようだったのでまずは安心したが予断を許さない状況にはある。
母親は、元旦の午前中もほとんど眠っていたので、せっかく用意したおせち料理も食べないまま、入院。しばらくして「お腹がすいた」といい、翌日の朝も出された食事に、「これしかないの?」とがっかりしていたようだが、まだ“食い意地”が正常に残っているところでこれも一安心ではあった。
おそらく本人にとっては、出産以外では初めての入院で、それも元旦ということで「なんでこんなことになったのか」と、訳がわからず混乱したようでもあった。
昨年は、親しい友人、知人が4人入院して、手術を受けた。私は暮れに胃と大腸の内視鏡の検査を受けた。ひょっとするとどこか悪くて、自分も手術なんて事になるのかもしれない。そんな心配もしていたが結果は大きな異常はなく、少し安心して年を越したが、こういう形で元旦から“入院”が身近なものになってくるとは・・・。まったく人生は予想外な事がいつも起きる。
二日の天気は晴れたが、一転して南風が砂浜を巻き上げるほど吹いた。一方、母親の容態は安定した。「自然の美しさ」、「健康の大切さ」、そして「世の中何が起きるかわからない」という、世界の“三大当たり前”をしみじみ感じた年の初めであった。