現状報告より感染制御策を 寄付を促せないか

GoToトラベルをめぐって東京都は65歳以上高齢者と基礎疾患のある人には自粛を要請した。高齢者たちの健康を気遣うというよりは、感染したら重症化の危険があるこの種の人たちの行動を制限した方がいいといった思惑がみてとれて、嫌な感じがする。極端な言い方をすれば社会に負担をかけるものの排除に近い。
 感染者は増え続け医療機関の危機的な状況が報道される。一方で外出の自粛を要請された大阪の繁華街の様子を「閑散としています」と、まるで悪いことのように報ずる記者がいる。自粛の要請に人々が応じていることが悪いことなのか。現時点ではにぎやかな方が問題なのに。
 医療現場はひっ迫している。飲食店や旅行業界は大変な目に遭っている。その状況だけを一喜一憂するかのような報道には辟易している人も多いのではないか。反対に報道されないのが、感染状況の具体的な内容だ。どこで、どんな人がどのように感染しているため拡大しているのか。どのような感染防止策の可能性があるのか。それが示されない。
 個人の感染防御策のレベルではもはや対抗できないということは明らかなのだから、社会的な検査によって感染状況をつかみ拡大させないようにすることや、検査によって封じ込めようとしないのなら全体に網をかけるという意味で、非常事態宣言のような方策をとるしかないのではないか。
 感染者だけでなく他の疾患で診療・手術を必要としている人にも影響が出ている。ここでも弱いものへの圧力が高まっている。医療機関、居酒屋などいまもっとも苦境に立たされているところに、カンパの寄付を呼びかけるのも一つ方法だ。ただの寄付ではなく「Let’sカンパ」として、寄付した人に特典があるような施策だ。われわれの社会が壊れつつあるなか、国だけを頼りにするのではなく、企業も個人も社会のために寄付をする仕組みができるといい。


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