バス事故と違法状態放置

 群馬県の関越自動車道の高速ツアーバス事故で、運転手が自動車運転過失致死傷容疑で逮捕された。運転手とバス会社が日雇い契約だったなどさまざまな法的な問題が出てきた。

 しかし、なにより長時間運転などで安全運転が確保できないところが最重要であることは乗客の安全を考えればいうまでもない。であれば、以前よりコスト削減や過当競争によって安全性への疑問が投げかけれてきたのにもかかわらずそれを放置してきた責任は行政や政治にないのか。
 広島県福山市のホテル火災も同様である。再三にわたって消防から防災面での不備を指摘されてきたのに改善されず、これもそのまま放置されてきた。
 京都府亀岡市で無免許運転の車が引き起こした死亡事故でも、もっと事前にこうした事故を防ぐ手立てがとれなかったかという議論がある。「走る凶器」といわれ一歩間違えれば人の命を奪う車の運転について、免許取得時への教育や、確信犯的な無免許運転を厳罰に処する法的整備などで抑止効果を持たせることはできなかったのか。
 いくら法律がよくできていてもそれを守らなくても特段罰則がなければ、違法状態は放置されるだけだ。特に労働関係の法律は専門家にいわせれば、とてもよく整っているが、その通り運用されていないのが現実だ。
 いまだに過労死や過労自殺などがなくならないのは、労働基準法などが守られていなくても、見過ごされているからである。また人を雇用すれば、事業所は自らが半分を負担する社会保険に加入する義務があるが、そんなことは守られていないところは山ほどある。自営業者と同様国民健康保険に入っている人はたくさんいる。
 違法状態を処罰をせずに放置しておいて、問題が起きたときにその違法行為者だけを責めてもなにもならない。


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