海の家から金魚売りまで

 地元の海岸を散歩すると、海水浴場で“海の家”の建築がはじまっていた。梅雨のどんよりした空の下で、骨組みをあらわした家の向こうで海に浮かぶサーファーの姿が見える。

 だれがどういう権利で海の家というのは成り立っているのかという疑問はあるが、できてみれば短い夏の風情として親しまれる。

 昨年は「3.11」の影響で、控え気味だった営業も今年はそれなりの客入りをねらい力が入っているという。この小さな海水浴場で昨夏、「海の家でラーメンでも食べようか」と、出かけていき、昔ながらのさっぱりしたラーメンを注文した。そして、まずはその前に冷えた水をガラスのコップでぐいっといきたいところだった。

 ところが、ただの水はないという。自販機で買わなくてはならないそうだ。なんとなく釈然としないままラーメンだけを食べて帰った。
 家で昔の海の話をしていて、「そういえば昔は風鈴を売りに来る人がいたわね」という話しになった。「そう、金魚売りもいた。“きんぎょえー、きんぎょー”ってね」。エアコンはなかったけれど、こういう涼しげな風物があった。
 風鈴売りも金魚売りもいつごろから姿を消したのだろうか。 


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海の家


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